研究概要 |
電気光学変調により光のスペクトルを拡大し, そのサイドバンド成分の振幅および位相を調整することにより超短光バルスの生成, 波形制御を行うという方式について研究を進めた. まず電気光学変調器の改良による変調サイドバンド広がりの拡大について研究を進めた. LiTaO.ナ_<3.ニ>を微小バルク形で用い, 複数電極, 終端短絡形の9, 35GHzマイクロ波高能率光変調器を試作し, アルゴンレーザ光において変調指数10π, サイドバンド広がり640GHzを得た. 次にこの変調された光を用いて超短パルス生成, 波形制御を試みた. まずグレーティングを用いた光パルス生成実験を行い, チャープ圧縮によって繰り返し9.35GHzパルス幅8ピコ秒以下の光パルスを得ることができた. このパルス幅は検出器の限界以下であり, 実際には2〜3psと予想される. また光ファイバを分散素子とした光圧縮実験も行い, 実際に圧縮が行われることを確認した. このように連続光からピコ秒程度の光パルスを電気的に制御して生成できたことは従来になく, 画期的な成果である. 次に波形の合成・制御について研究を進めた. 9.35GHzの間隔でならんだ光サイドバンドを分離するため, ファブリ・ペローチ渉フィルターを利用することを考案した. 変調サイドバンドの適当な成分のみをこのフィルターでぬき出す実験により, さまざまな繰り返しのピコ秒光パルスを生成することができ, その最大繰返し周波数は75GHzにもおよんだ. 100GHz以上の繰返しもこの方式では容易であったが, 検出器の制限によりこれ以上は観測が困難であった. また同じ方式によりさまどまな波形を発生することが可能であり, 二進コード列も発生させることができた. 新しいサイドバンド生成法, 分離・合成回路の検討, 任意波形生成のための制御法についても研究を進めた.
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