本研究の目的は変調器の帯域に制限され営にピコ秒からサブピコ秒(周波数領域ではテラヘルツ)の超高速域まで高速化できる制御性に優れた新しい電気光学的な光パルス生成、波形合成法を研究開発することである。具体的には、CW発振レーザ光に十ギガヘルツ程度の深い変調をかけ、サイドバンド生成により光スペクトルをテラヘルツ領域まで広げた後、これを周波数領域で制御するという独自の超広帯域光制御法について、その理論的検討およびその基本動作の実験的確認を行い、さらにピコ秒からサブピコ秒域の任意波形光制御、光パルスシンセサイザに応用することである。まず初年度には広帯域のサイドバンド生成に適した複数マイクロストリップ電極構造のLiTaO_3終端短絡形高能率位相変調器を開発し、サイドバンド広がり640GH_Z(FWHM)を得た。ついで、生成サイドバンドをファブリペロチ渉フィルタで選択抽出し、種々の繰り返り、波形のパルスを得ると言う簡便シンセサイザの実験も試み、10ー115GH_Zの高繰り返り光パルス生成に成功した。63年度には、生成光サイドバンドを回折格子とフーリエ変換鏡で空間的に分波し、個別に空間フィルタや変調器アレイで制御したのち、再度フーリエ変換鏡と回折格子を用いて、合波する本研究者独自のシンセサイザの研究開発に歩を進めた。まず、空間フィルタによる制御により、10ps以下の種々波形のパルスを理論通り生成することに世界で初めて成功、さらに液晶シャッタアレイによるプログラマブル制御の予備実験にも成功し、テラビット/秒の超高度2進ワード発生器への適用法についても検討を行った。市販のcw発振レーザから、電気光学的な手法のみで、ピコ秒光パルスを生成し、その波形の制御を行ったものは本研究をおいて他にも例がなく、本研究の成果に対しては国際的にも高い評価を得ている。
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