研究概要 |
本学練習船にニセンサーの試作波高計アレーを搭載して東京湾や野島崎沖で, 波浪データの収集を行った. それらのデータを用いて, パーソナル・コンピュータにより, 出会い波浪の波向ベクトルを求めるプログラムの開発を進めてきた. 前半は主にスペクトラム解析の高速化を試みたが, パーソナル・コンピュータでは限界があることが分かったので, 高速のFFTアナライザーを購入することになった. 出会い波高に対して観測された波高計アレーの二つの波形をFFTアナライザーに導きスペクトラム及び位相差を求め, それらを用いてパーソナル・コンピュータ(PC9801)で真の波高スペクトラムと波向ベクトル分布を求めるプログラムの開発を行なった. 現在は実時間計測に向けてのプログラムの高速化に取り組んでいる. これまでのところ, 従来の固定型のニセンサー波高計アレーでは相互相関と位相差からのみでは, 波が波高計を結ぶ直線の前方からか後方からかの判別が出来ないという問題点があったが, 船舶に搭載した場合は船の速度ベクトルが既知であるので, 二センサーのみでも波の前後の方向を得られる可能性があることが分かった. 実験では, 波高計アレーのセンサー間隔が4mと狭いので, 方向分解能には問題があるが, 操船という立場で考え, リアルタイムの表示が可能であれば, このままでも実用的見地からは可能性があると考えている.
|