昭和62年度に開発したプログラムを、実海面において収集した波高データに適用して波向スペクトルを求めた。そこでは2台のみの波高計からなるアレーでも、船舶に搭載するときは、波向スペクトルの測定が可能であることを示した。 さらに実時間での波向きスペクトルの導出および表示を目指してプログラムの高速化をはかった。しかしながら実験中にセンサー部が荒波によりさらわれ、復旧に手間取ったため、洋上実験での実時間表示システムの検定には至らなかった。そこで、波向きの計測に関連して、マイクロ波ドップラー・レーダーを用いてマイクロ波を海面に対して斜めに入射し、ドップラー・シフト周波数を測定することにより、相対波速を測定する実験を行った。方位角を変えて測定し、波の方向と方位角が一致するとき、正または負の最大速度となるので、波の速度と方向を決定することができる。 まず水槽実験においてビームの俯角と方位角をかえてドップラー周波数シフトを測定し、波速測定の可能性を確認した。また実船実験の結果、船舶に設置する場合は、船の速度と波浪による船体の上下運動速度の補償などの問題が今後の課題として残された。しかしながら、以上の実験結果から固定のプラットフォーム上での測定には、ここままでも利用できそうであることがわかった。
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