研究概要 |
本研究は, プラズマ銃を使用して, 直径100〜600μmのパイレックスガラス小球をアルミニウム合金に衝突させるシミュレーション実験を行い, 宇宙基地モジュールやフリーフライヤーの防護壁の設計に資することを目的として, 昭和62年度により, 2年計画で行っているものである. 同軸磁場圧縮コイルを利用したプラズマ銃に, 圧縮ヘリウムガスを駆動力とした軽ガス銃を取り付けて, ガラス小球を予備加速した. 軽ガス銃からプラズマ銃への投入時にタイミングを合せて, プラズマ銃の電源であるコンデンサの放電を開始した. 秒速700mで投入することによって, プラズマ銃による速度が約30%増加することが分った. この方式によって, 直径500μmのガラス小球を秒速10kmに加速, 衝突させる技術を確立した. 500μmのガラス小球を厚さ1mmのアルミ合金2024に衝突させて, クレータの観察を走査型電子顕微鏡を使用して行った. クレータの直径はガラス小球の衝突速度の増加と共に増大し, 小球の衝突によって大きな塑性流動が生じることが分った. クレータ直径は衝突速度にほぼ比例して増大し, 速度10km/sでは, ガラス球の径の約4.5倍の値が得られた. 昭和62年度に得られた最高速度はコンデンサ放電電圧8KV,192KJのエネルギーによるものである. 使用コンデンサは10KV,300KJのものであり, 相当のエネルギーの余裕を残しており, フルエネルギーの使用によって, 12〜13km/sの速度の達成が可能である. 今後はフルエネルギーによるより高速衝突実験を行い, 防護構造に関するシミュレーションを進める.
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