1.研究の目的:Ni基超耐熱合金単結晶の高温引張り強度、クリ-プ強度、高温疲労強度におよぼす結晶方位の影響と強化元素の種類の影響について組織的に研究し、実用上の見地から見て優れた性質をもつ合金系を明らかにすること。 2.研究計画・方法と結果: 1.供試材:3種類の合金、1)Al-Ti-Ta強化型、2)Al-Ti-V強化型、3)Al-Si強化型合金 2.引張試験:上記3種類の合金を用いて、室温〜1000℃における耐力とCRSSの温度および結晶方位依存性を調べた。700℃付近では3合金とも[001]方位が強く、900℃以上では[001]が強い合金とそうではない合金に分かれた。 3.クリ-プ試験:供試材には上記の合金AとBを用いた。初期引張方位はステレオ標準三角形の中の低指数の5方位を選んだ。試験温度は、温度と負荷応力の組合せが最も過酷となる700℃、および耐用温度の上限に近い900℃とした。 700℃では[001]方位のクリ-プ破断時間が長かったが、900℃ではむしろ[111]あるいは[113]の方が長寿命であった。また、合金Aの方が合金Bより強かった。 4.高温疲労試験:ブレ-ド用材料においては高温高サイクル疲労強度も重要であるので、合金Aを用いて700℃で高サイクル疲労試験を行った。応力負荷方位は[001][011]および[111]とした。応力波形は、引張り側の片振りの3角波形(5Hz)とした。3方位のS-N曲線は互いに似ており、結晶方位の影響が小さいことが判った。 3.結論:従来の研究によれば、単結晶材料の高温強度は容易成長方位である[001]においても最も強いといわれているが、詳しく調べてみると、引張り、クリ-プ、疲労では強度の結晶方位依存性が異なっていることがはっきりした。しかし、合金系による強度の違いははっきりしていて、1)の合金が最も強いことが明らかになった。
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