研究概要 |
本研究は, 代表的な難削材であるステンレス鋼やセラミックスなどを対象とした超精密切削加工技術を確立することを目的としている. ここでは主として各種工具の切削性能の観点から検討を行うとともに, 加工された仕上げ面の特性, 切削力などについてあわせ検討している. 主な研究成果は, 以下のとおりである. 1.難削材の超微小超精密切削加工機構の検討 走査型電子顕微鏡内微小切削装置を用いて, ステンレス鋼などの微小2次元切削における切りくず生成過程を観察するとともに, 油静圧軸受で支持された超精密主軸を具備した超精密旋盤を用いて, ステンレス鋼, ジルコニアセラミックスの平面フライカッティング切削を行い, 切削3分力を測定してそれらの特性を明らかにした. 2.難削材の超精密切削加工用工具の開発と評価 鋼の切削にはダイヤモンドを使用することができないことから, ステンレス鋼の切削に適したCBN工具について検討した. 特に焼結CBN工具のCBN含有量を広範囲に変化させて切削実験を行い, 主として工具の欠損, 摩耗の観点から検討を行った結果, CBNの含有量が20〜40%のものが, 最もよいことが求められた. また, ジルコニアセラミックスの切削には, 天然単結晶ダイヤモンド工具が適していることが実験より明らかとなった. 3.仕上げ面の精度とあらさの測定ならびに評価 各種難削材について切削加工実験を行った結果, CBN工具を用いてステンレス鋼の切削, ならびに単結晶ダイヤモンド工具を用いたジルコニアセラミックスの切削において, それぞれ最大仕上げ面あらさ0.2μmおよび0.1μm以下を得た. 仕上げ面の形状精度は, 工作機械と工具, 被削材の熱変形によって影響を受ける.
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