研究概要 |
摩擦剤として, B,Si,Pなどを含む液体からの急冷によって作成したアモルファス金属とPVD法によって作成したTa系およびW系のアモルファス合金を用意し, それらと各種純金属を空気中で摩擦させアモルファス金属の耐摩耗性の検討をおこなった. その結果, 全般的にアモスファス金属は結晶金属よりも耐摩耗性に優れていること, また相手純金属の種類によってアモルファス金属の摩耗に著しい差がみられることが確認された. PVD法によって作成したTa系およびW系アモスファス金属両者の摩耗特性は似ている. つまりアモルファス金属の構成元素を単体で相手材に選ぶと大きく摩耗すること, Cuに対しては摩耗が非常に少ないことである. これはアモルファス金属と相手金属との親和性が小さい程摩耗が少ないことを意味している. この, 2摩擦材の親和性が摩擦・の親和性が摩擦・摩耗を支配するという原理はこれまでに得られている純金属同士の場合と同じであり, Ta系, W系のアモルファス金属は結晶金属と同様な摩耗特性を示すことが明らかにされたのである. それに対して液体からの急冷によって作成したアモルファス金属は, その原理にあてはまらない挙動を示した. すなわちFeやNiはAgとは親和性が悪いがFe系およびNiアモルファス金属はAgによって他の金属とは桁違いに摩耗したのである. 以上の結果はアモルファス金属といっても, その作成法や構成元素の種類によって異なる摩耗挙動を示すことを意味する. このような相手材によって摩耗が異なるアモルファス金属ではあるが, 耐摩耗性の悪いくみあわせでもこれまでの金属試料の耐摩耗性と比較すると同等かそれ以上のよい耐摩耗性を持っている. そこでアモルファス金属がダスト超清浄環境におけるしゅう動部材への応用が期待されるのである. 次年は真空下では挙動について実験をするつもりである.
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