研究概要 |
花びらの数を8枚としたロープミキサーを用いて, 花びら形ノズルの混合過程の基礎実験を行った. タフトグリッドによる可視化実験から, 花びらノズルを流体が通過する間に, 内部噴流は半径外向き, 外部噴流は内向きの強い速度成分を持ち, ノズル直後の両者の混合過程では強い縦渦が発生していることが明かとなった. 熱線風速計の一種であるスラントワイヤを用いた三次元乱流計測では, 上述の現象を定量的に明らかにし, さらに乱れ度やレイノルズ応力から流れ場の詳細な検討が可能になった. つまり, ノズル内の流れである内部・外部噴流では, 主流に直交する断面において, 半径方向から円周方向に流れが転向する付近で乱れ度・レイノルズ応力が大きくなり, ノズル直後の混合を促進させる一因になっていることが判明した. 実験は, 噴流の速度比が0.8と1.0の二通りで行ったが, 流れの本質に大きな差異はなく, ノズル形状によって混合過程が決定されてしまうことも明らかになった. 数値計算においては, 縦渦による非等方性の強い乱流旋回流でも精度ある予測を可能にするため, レイノルズ応力輸送方程式モデルの開発を行っている. モデルの検証のため, 二次元チャンネル流れを取り上げている. 一般座標系での計算を容易にするため低レイノルズ数型と呼ばれる壁面流れの取扱を実行し, モデルの係数を定めた. 一方, 複雑な形状である花びらノズルの格子生成には, 三次元格子生成に有利と考えられる代数的手法を用いた. 乱流計算の初期値を得るため, 対流項を三次風上差分で表現する層流計算のプログラムを開発した. 形状が複雑になっているため, 収束解を得るには時間進行幅を適当に小さくしなければならず, その値の目安を知ることができた. 来年度にはこれらの成果を利用して, この複雑なノズル流れをレイノルズ応力輸送方程式モデルで算出する.
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