研究課題/領域番号 |
62460094
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松尾 一泰 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (30037759)
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研究分担者 |
望月 博昭 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (70038058)
青木 俊之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (20150922)
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キーワード | 擬似衝撃波 / 境界層 / パッシブコントロ-ル / 圧縮流れ |
研究概要 |
1.境界層のパッシブコントロ-ルを擬似衝撃波に適用する際に、擬似衝撃波の先頭衝撃波の足元に多孔壁の上流端が位置するように適用すれば、その効果は最も大きくなる。この場合、擬似衝撃波を構成する各衝撃波は極めて弱くなり、ほとんどショックレスに近い状態になる。 2.前項の流れ状態において、流路断面積の中心部に観察される弱い斜め衝撃波とマッハ波が管路中心軸となす角を測定し、これに基づいて管路中心部における流れ方向の静圧分布、全圧分布、及びマッハ数分布を求めた。その結果、管路中心部の高速流れは等エントロピ-流れに近い状態になっており、全圧損失の大部分は壁近傍の低速領域において生じることが明らかになった。 3.擬似衝撃波はその上流の超音速流れが時間的に変動しない定常流れでも、前後に激しく振動する。しかし境界層のパッシブコントロ-ルを行うと、その振動はかなり低減される。振動のパワ-スペクトルをとり周波数分析した結果、境界層のパッシブコントロ-ルにより、振動の高周波数成分がほとんどゼロになることが明らかになった。これは、衝撃波との干渉によりはく離した境界層は不安定であるが、パッシブコントロ-ルにより、この不安定な境界層が安定になったためと思われる。 4.境界層のパッシブコントロ-ルを行っても、擬似衝撃波の長さ、すなわち擬似衝撃波の先端から壁面静圧が最大となる位置までの距離や擬似衝撃波前後の圧力比は影響を受けず、変化しない。 5.以上の結果より、境界層のパッシブコントロ-ルにより、擬似衝撃波の構造自体は大きな影響を受け、ショックレスに近い状態になるが、長さや前後の圧力比などの静的特性は変化しない。しかし動的特性はかなりの影響を受け、振動は大幅に低減される。以上により、この方法は擬衝撃波の振動防止に極めて有効であると結論できる。
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