研究概要 |
本年度は実験的研究として, 0°から10°毎に8種類の旋回角と3種類のRe数(1*10^5,2*10^5,3*10^5)の組合せによる24種類の壁面静圧の測定, 並びに, 旋回角だけを3種類(Φ=0°,30°,50°)変化させ, 同心二重円管内外壁の粘性底層から外層までの平均速度分布, 乱流成分の測定および, 油膜法による可視化で壁面流線の定量的測定を行い, 以下の結論を得ている. (A)同心二重円管における流れは, 旋回強さにより3種類のパターンに大別され, それらの臨界となる旋回強さは村上ら(1)が円管内旋回流に対して報告している旋回強さに一致している. (B)内壁近傍においては安定効果が, 外壁近傍においては不安定効果が働くために, 絶対流速に対する対数則の勾配は無旋回時に比べ, 内壁においては大きくなり, 外壁においては小さくなる. また, kーεモデルのモデル定数であるCμの値は, 内外壁のどちらにおいてもΦ=50°の時には通常の0.09よりも2〜3倍程度大きくなっている. (C)内壁近傍においては, 旋回を有する場合の軸方向の対数則は, 無旋回時の対数則に一致しており, 旋回の有無にかかわらず軸方向の平均流速により軸方向の壁面せん断応力を見積もることが出来る. しかし, 外壁近傍においては, 旋回を有する場合の軸方向の対数則と無旋回時の対数則は一致しておらず, この場合は軸方向においても無旋回時に比べ対数則の勾配は小さくなっている. また, 数値解析に関しては, 対数則による壁面境界条件を定めたkーεモデルによる解法により, 最も予測が困難である摩擦速度においても, 無旋回時には, よい一致が得られた. そこで現在, 実験結果を参考にして, 旋回を有する場合の壁面境界条件・モデル定数の妥当性を検討している. (1)機論41圏346号(昭50ー6)
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