1.実験装置の作製および実験方法 実験装置は、試験部、空気循環系、冷却液循環系および温度補償部より構成された。試験部は、縦1000mm、横300mm、厚さ100mmで、その空間に密度16kg/99m^3のグラスウールを充填し、温度測定のため表裏6箇所にΦ0.3mmクロメルアルメル熱電対を取りつけた。冷却面は厚さ3mmの銅板にて製作し、冷却面の温度を所定の一定温度に保つため、背後より10本の吹き付け管により温度制御したブラインを吹きつけた。冷却面とグラスウール層との間に、20mmの通路を設け、この部分に空気を流動させた。グラスウール背面に定温室を設け、この部分の温度および湿度を一定に保った。流入空気温度は5〜10℃流入空気流速0.2〜1.0m/s、冷却面温度-5〜-15℃に変化させた。 2.実験結果の概要 (1)従来全く報告のなされていなかったグラウール内の非定常温度分布挙動を、サーモビュアーを用いて定性的に、かつ定量的に把握することを行った。 (2)流入空気流量ゼロ(自然対流)の場合、空気は上部より下部へ流れ、強制対流の場合と逆転する。したがって、グラスウール内の温度勾配が大幅に変化する。このことが、流入空気の顕著な効果を示していることになる。 (3)グラスウール内に蓄積する水分量は、冷却面温度が低下するに従って増加する。例えば-15℃の場合には-5℃の場合の数倍となる。 (4)グラスウールの熱通過量は、流入空気の温度により大幅に変化する。流入空気温度が高い場合(10℃)には、空気流速と共に減少し、一方低い場合(5℃)には増加する。このことは、流入空気の温度が最も大切な因子であることを示している。したがって、この温度の選定に最大の注意が要である。 (5)本研究の範囲では、空気温度10℃、空気流速0.8m/sがいずれの冷却壁温度に対しても最適である。
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