研究概要 |
本研究は金属ないし非金属気体原子分子を超音速自由噴流により急速冷却してクラスター分子線を作り,その生成クラスターの物理化学的特性を調べるとともに,生成クラスターを基板上に衝突させて薄膜生成の基礎研究を目的とするものである. 初当,クラスター気体源として電子ビームによる固体物質の蒸発を計画していたが,現有の超音速分子線ビーム測置では効率良い新子ビームを作動させるように眞空度を調節できないことがわかり,電子ビーム法をレーザビーム法に変更した. すなわち,レーザビームをパルス的に蒸発源固体に照射し固体表面でその蒸気を解離させ分子線ノズルより噴出させて急冷しクラスターを生成させるという方法である. レーザとしては,エネルギーがパルス周期により制御でき,かつ安定に作動するものとして, Nd:YAGレーザを使用することにした. レーザビーム法ではレーザエネルギが十分であればW,Taなどの高融点金属蒸気を作ることが原理的に可能であるが,分子線装置の眞空排気能力とノズル圧力比,レーザパルス周期と照射エネルギー強度および発生蒸気圧との関係を明らかにした上で,生成クラスターの研究をしなければならない. 本年度においては,こうしたクラスター発生源の調整を行うとともに,Fe,Al,Cなどを用いてそのクラスター生成過程を質量分折計を用いて研究した. ソース源が安定せず,まだ安性的な研究段階であるが,ソース温度・圧力と生成クラスターの関係が解明されるにつれてその制御が可能になり定量的なデータがとれつつある. 次年度においては,これらの結果をもとにして,クラスタービームによる薄膜生成の研究を行う計画である.
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