薄肉構造物の流体連成振動の能動制御に関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62460103
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 谷 順二 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30006192)
• 研究分担者: 大友 規矩雄 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (10006182) ; 須藤 誠一 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (90006198) ; 山田 大彦 東北大学, 工学部, 助教授 (90005471) ; 橋本 弘之 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10006174)
• キーワード: 振動 / 流体連成 / 動的不安定現象 / 現代制御理論 / 薄肉構造物 / テンドン機構 / 圧電アクチュエ-タ / トランスピュ-タ

研究概要

流体と連成する薄肉構造物の振動や動的不安定現象を解明し、それらを抑制・制御する方法を確立することは工学的に重要な問題である。従来はダンパ-を用いたり構造物の強度を高かめたりする受動的な方法を使っていたが、軽量で機能性の良い構造物には能動制御の方法を用いることが不可欠である。そこで本研究では、送水管、気流中の角柱、液体を含む円筒殻、気流中の円筒殻等の流体関連振動や不安定現象を、現代制御理論に基づき,テンドン機構や圧電アクチュエ-タを用いて、制御抑制することを目的として、本年度は以下の事項を明らかにした。
片持送水管のフラッタ-やダイパ-ジェンスの動的不安定現象を、テンドン機構ならびにバイモルフ型圧電アクチュエ-タで集中モ-メントを送水管の最適な位置に加えることにより制御し安定化できることを理論的に明らかにして来た。そこで今年は実験を行ない、シミュレ-ション結果とほぼ同じ実験結果を得ることができ、本方法の有効性を示した。なおDCサ-ボモ-タを用いるテンド機構を用いると、ジェットカッティングノズルの振動制御にも適用できるが、圧電アクチュエ-タでは力不足で、非常に柔軟な送水管にしか適用できないことが明らかになった。
直交気流による角柱のギヤロッピング現象を解明した結果に基づき、強力な積層型の圧電アクチュエ-タを用いて角柱にモ-メントを加える方法によって、ギヤロッピング現象を抑制することが可能であることを実験的に検証した。
液体を含む回転円筒殻の流体連成振動を、磁気軸受をアクチュエ-タとして用いて、抑制・制御することを理論的並びに実験的に検討した。内部液体を適当にモデル化することにより可能であるが、トランスピュ-タ等の並列計算可能な高速計算機が必要不可欠であることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] M.Chiba,T.Yamashida,H.Sugiyama & J.Tani: "Dynamic Stability of Liquid-Filled Cylindrical Shells under Periodic Shearing Forces" ASME.J.Pressure Vessel Technology. 111. 420-427 (1989)
• [文献書誌] J.Tani,K.Ohtomo,T.Sakai & M.Chiba: "Hydroelastic Vibration of Partially Liquid-Filled Coaxial Cylindrical Shells" ASME.Sloshing and Fluid Structure Vibration,PVP. 157. 29-34 (1989)
• [文献書誌] J.Tani,T.Sakai & M.Chiba: "Dynamic Stability of Fluid-Coupted Coaxial Cylindrical Shells under Vertical Excitation" ASME,Sloshing and Fluid Structure Vibration,PVP. 157. 47-53 (1989)
• [文献書誌] J.Tani & F.Takahashi: "Dynamic Stability and Active Control of a Stepped Pipe Conveying Fluid by Piegoelectric Actuators" Proc,Asia Vibration Conf.89. 233-238 (1989)
• [文献書誌] 高橋史明、谷順二: "流体ジェットにより横従動力を受ける片持ばりの能動制御" 日本機械学会論文集、C編. 55. 1199-1205 (1989)
• [文献書誌] 谷順二、酒井達能、千葉正克: "流体連成二重円筒殻の動的安定性" 日本機械学会論文集C編. 55. 870-877 (1989)