データフロー型プロセッサとノイマン型プロセッサを融合した「協調型画像処理システム」を構築し、このシステムを使用して走行実験用移動Vehicleの視覚誘導を本研究では試みた。分岐・障害物認識を含んだライントレースや廊下走行など実際の走行実験を行うことにより「協調型画像システム」の有効性を確認した。 データフロー型プロセッサを8基並列に用いることにより、40MIPS程度の高速な処理を可能としたが、 ○開発環境が整っていないためプログラム開発に時間がかかること。 ○従来の逐次的なアルゴリズムとして記述されている手続きはコーディングしにくいこと。 が実際にシステムを構築する上での問題点となった。 そこで、データフロー型プロセッサの高速性とノイマン型プロセッサの逐次アルゴリズムの記述の容易さをともに兼ね備えた協調システムを開発した。すなわち、外部環境への柔軟な対応が要求される経路誘導に不可欠なプログラム全体の制御・判断・認識処理・複雑な場合分け等の作業をノイマン型プロセッサが受けもち、フィルタ処理など画像の低レべルではあるが計算量が膨大な処理はデータフロー型プロセッサが受け持つシステム構成とした。 データフロー型プロセッサを使用することで、画面の処理時間は、障害物認識に1画面(画面全体)当り約120ms、それ以外の処理は最遅の処理で1画面当り(画面の1/4)13ms以下という高速なものを実現できた。 この高速な低レべル処理をモジュール化し、ノイマン型プロセッサのサブルーチンとして用いることによって、分岐・障害物認識を含んだライントレースや、廊下環境での走行など柔軟性を必要とする実際の走行を実現し、本システムの有効性を確認した。
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