研究課題/領域番号 |
62460109
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田頭 博昭 北海道大学, 工学部, 教授 (10001174)
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研究分担者 |
佐藤 孝 北海道工業大学, 工学部, 教授 (90048025)
下妻 光夫 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70041960)
金子 良松 北海道大学, 工学部, 助手 (90001271)
酒井 洋輔 北海道大学, 工学部, 助教授 (20002199)
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キーワード | ベーパーミスト誘電体 / 電気絶縁耐力 / 誘電液体 / パルス波高分布分析 |
研究概要 |
ベーパーミスト誘電体は、適切なバッファーガス中に誘電液体をミスト状に加えたもので、少量の液体を用いて飛躍的に高い絶縁耐力を得る可能性が示された。本研究はC-GIS等の電力機器絶縁にベーパーミスト誘電体を用いて、それを小形化、高性能化するための可能性を見出すことを目的としている。昭和63年度は、前年度に確認されたベーパーミスト絶縁による絶縁耐力の上昇のメカニズムを放電基礎過程の観点から明らかにすることを目的とした。放電チェンバー中に直径8cmの平行平板電極を設置し、この間を走行する電子なだれの増倍についてその統計分布を観測する。方法としては陰極側に放電ギャップに直列に電子なだれによる電荷蓄積用コンデンサーを挿入し、適切な時定数を設定するために並列に漏洩抵抗を接続し、コンデンサー両端の出力電圧(電子なだれの増倍に比例)をパルス波高分布分析器(キャンベラ35MCA、購入備品)により観測した。対象としたガスおよびミストは空気、窒素、空気+FC84ベーパー、空気+FC77ベーパー、空気+FC77ベーパー+ミストである。その結果、バッファーガス(空気、N_2)にベーパーを加えることにより大きな電子なだれの発生が抑制されること、およびこれにミストを加えることにより、更にその抑制が強く行なわれるらしいことを明らかにした。またバッファーガス中及びベーパーを加えた場合について定常タウンゼント法により電流成長を観測したが、ベーパーを加えることによって実効電離係数が低下することを確認した。これらの結果からバッファーガスにベーパーを加えることによる破壊電圧の上昇は少なくともベーパーの添加による実効電離係数の低下が寄与していること、ミストを加えるとこの効果を更に助長するらしいことが示された。また第二の成果としてはFC77及びFC84の両フロリナート液体についてベーパーミスト効果を詳細に調べその効果を確認したことが挙げられる。
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