研究概要 |
本研究は, DCUHV送電設備におけるイオン流場と空間電荷を検知して, その制御法を検討することにより, イオン流帯電の防御法を検討するとともに, イオン流帯電現象そのものを発生させない洞道ガス絶縁送電と呼ばれる新しい考え方に基づく送電方式の確立を目的として昭和62年度と昭和63年度の2年間で完結するように計画された. 先ず, イオン流の検知と制御に関しては次のような成果を得た. イオン源となるコロナ放電性の気体圧力依存性は, 大部分は気体密度の変化をパラメータとして説明できるが, 負コロナのiーv特性には気体の温度依存性を考慮する必要がある. イオン胤場の相似側については, Epα.ニD8V(VーVc)/d.ニD8, JpαV(VーVc)/d^3, IαV(VーVc)/dD11.38D1の関係が成立することを理論と実験より示した. ただし, Epは地上最大電界, Jpは地上最大電流密度, Iはコロナ電流, Vは印加電圧, Vcはコロナ開始電圧, dはギャップ長である. これらの結果より, 地上イオン流帯電現象を抑制するための電線地上高を選定する指針が得られた. ガス絶縁関係に関しては, 電力中研とも協力して, 新しい考え方に基づく500kV級洞道ガス絶縁送電線の基本設計を行うとともに, 特に絶縁上の弱点となる粒子汚損スペーサの耐電圧特性を実験で調べた. その結果, 粒子汚損スペーサの破壊機構ならびに特性は, ガスの電子親和力によって著しく異なること, 特に, 電子親和力が小さいガスでは粒子が細いほど耐圧が低下するが, SF_6ガスのように電子親和力が大きくなるとある特定の粒子径において耐電圧が最小となることが判った. 昭和62年度の成果から, 特に粒子汚損スペーサの耐圧向上には, 電極近傍のスペーサ表面の電界と空間電荷を制御すると有効であることがはっきりしたので, 昭和63年度はこれを考慮した耐圧向上法を中心に研究する予定である.
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