研究概要 |
(AlGa)As系超格子は,特定の不純物の存在によって熱的に不安定となり, AlGuの相互拡散のため混晶となることはよく知られている. 本研究は, n形不純物のSiは混晶化を誘起するがP形不純物のBeは濃度が十分高くなければ混晶化を促進しないこと, およびGaAs中でSi,Beはドナーアクセプターペアとなりそれぞれの拡散が抑制され, したがって混晶化が抑制されることを利用してAlAs/GaAs超格子の横方向微細加工を行なったものである. 超格子の横方向微細加工の基本形として, 超格子表面上にBe,非晶質GaAs層よりなる微小細線パターンを作製し, これをマスクとしてSiイオン注入を行なった. この試料を800℃,2時間の熱処理後, 断面を透過電子顕微鏡で観察することにより混晶化部分と超格子部分の界面急峻性を調らべた. 得られた結果をまとめると次のようになる. 1.Be蒸着量1×10^<17>cm^<-2>では, Be膜直下ではBe高濃度のためBeによる混晶化が誘起され,Si注入部分では超格子構造は残った. 2, Be1×15^<15>cm^<-2>ではBe直下60nmまで混晶化し, それ以下では超格子が残った. またSi注入部分は完全に混晶化した. 超格子と混晶化部分の横方向の界面は鮮面であり, 遷移領域の幅は40nmであった. 3, Be1×13^<13>cm^<-2>では境界の遷移領域が100nmていどあり広くなることがわかった. 以上の結果から2の条件が適当と思われるので次年度ではこの条件近辺をさらに詳細にしらべ最適条件を見出す予定である.
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