研究課題/領域番号 |
62460117
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
直江 正彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016465)
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研究分担者 |
星 陽一 東京工芸大学, 工学部, 講師 (20108228)
中川 茂樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (60180246)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 光磁気記録媒体 / 巨大力ー回転能材料 / 強磁性ホイスラ合金 / 人工格子型多層膜 / 交互堆積スパッタ法 / プラズマフリー膜形成 / 対向ターゲット式スパッタ装置 |
研究概要 |
C1b型結晶構造を持つPtMnSbホイスラ合金は極めて大きな磁気光学力ー回転角θkを示すことで有名であり、その磁気特性は理論上の興味を持たれているのみならず、これをうまく薄膜化できればそれらは高性能の光磁気記録媒体として非常に有望である。最近、スパッタリングや真空蒸着によって大きなθkを持つPtMnSb薄膜の作製に関する研究がいくつか実施された。しかしながら、それらは未だ光磁気記録媒体のような実際上の応用に供しうるほどの十分な垂直磁気異方性を持っていなかった。他方、満足できるほどの垂直磁気異方性を実現できるかどうかの可能性を検討する研究もここ数年精力的に行われた。例えば、多層膜において強磁性層と非磁性層の界面近傍の数原子層において識別できるほどの垂直磁気異方性が誘起されることを見い出した。そこで、本研究ではさらに、プラズマフリー対向ターゲット式スパッタ装置を用いて、Pt層とMnSb層から成り顕著な垂直磁気異方性を持つPt/MnSb多層膜の作製が試みられ、それらの結晶学的および磁気的特性が系統的かつ詳細に調べられた。特に、温度200℃のスライドガラス基板上にPt層とMnSb層を交互に堆積しながら大きな磁気光学力ー回転角θkを持つ膜の垂直磁気異方性については詳しく研究した。それらの飽和磁化Msおよび保磁力HcはPt+MnSbの2層分厚さに対するPt層厚の比に強く依存した。熱処理膜のMsはバルクと同じ550emu/ccの最大値を示した。真空中400℃で150分間熱処理した膜のあるものは十分に大きな垂直磁気異方性を示した。例えば、厚さ約13AのPt層と厚さ50AのMnSb層で構成された厚さ2000AのPt/MnSb多層膜は4×10^5erg/cc程度の大きな垂直磁気異方性を持ち、新しい大出力信号が得られる光磁気記録媒体として有望であることが確かめられた。
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