研究課題/領域番号 |
62460121
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大木 義路 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70103611)
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研究分担者 |
長沢 可也 相模工業大学, 講師 (20180474)
浜 義昌 早稲田大学, 理工学研究所, 教授 (40063680)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 純粋石英ガラス / 欠陥 / 吸収帯 / 光ルミネッセンス |
研究概要 |
5.0eV、7.6eV光吸収帯の原因 1)5.0eV付近に観測される光吸収帯は2つのタイプに分別される(B_2α、B_2β) 2)7.6eV吸収帯とB_2α吸収帯は共に同じ原因に起因する(Si-Si) 3)B_2α帯の吸収はSi-Si結合による1重項→3重項禁制遷移である 4)7.6eV帯の吸収はSi-Si結合による1重項→1重項遷移である シリカガラス中の過剰酸素によって生成する欠陥と光吸収帯 1)酸素過多のシリカガラスには、パーオキシリンケージが存在し、3.8eV帯の吸収の原因となる。 2)パーオキシリンケージはγ線照射や加熱により拡散水素分子と反応し、OH基に変化する。Si-O-O-Si +H2→ Si-OH HO-Si 3)酸素空孔(〓Si-Si〓)は、900℃以上の加熱により拡散酸素分子と反応し、パーオキシリンケージに変化する。 Si-Si +O2→Si-O-O-Si 4)Arプラズマ法によるシリカガラスには製造時の酸素供給量の減少に伴い増加する 5.8eV帯が観測された。この吸収帯は非常磁性欠陥によると考えられ、E'centerとは原因を異にする吸収帯である。 4.8eV光吸収帯、1.9eVルミネッセンスの原因 4.8eV励起によって発行する1.9eVルミネッセンスの波長特性、時間特性 及びESRの結果、4.8eV欠陥であることが明らかになった。現在のところ、4.8eV吸収帯の原因は Si-O~に起因するものと考えられる。また、エネルギー供与体である4.8eV吸収帯とエネルギーの受容体であるNBOHCが同時に生成して初めて、4.8eV励起1.9eVルミネッセンスが生じることが明らかになり、不明な点が多かった4.8eV吸収帯と1.9eVルミネッセンスの関係が解明された。 2.7eV光ルミネッセンスの原因 純粋石英ガラスには製造法によって5eV(245nm)付近に2つのタイプ(B2αとB2β)の吸収帯が現れ、B2αは Si-SiIによる吸収帯であると考えられる。B2α帯への励起によって4.4eVに大きな発光と2.7eVに小さな発光が観測される。この発光体の時間減衰特性を調べた結果、2.7eV帯は4.4eV帯に比べ長い寿命を有することが明らかになった。また、非経験的分子軌道法による数値計算の結果(図3)と併せて、2.7eV帯のルミネッセンスは〓Si-Si〓の3重項励起状態から基底状態への遷移に起因する発光であることが明らかとなった。
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