研究概要 |
研究実施計画に従い,可変構造型並列処理計算機における相互結合網の研究,要素プロセッサの開発,動的負荷分散方式の研究を行った. 本研究における成果を以下に示す. 1.可変構造型並列処理計算機における相互結合網の研究:種々の相互結合網を容易にかつ高速にシミュレートできる相互結合網として,クロスバ網を決定した. 具体的には,実現の容易性の観点から,8×8のクロスバスイッチLSIを用いて,256×256のクロスバ網を平面分割する構成を採用することにした. ある相互結合網をシミュレートする場合,シミュレートの対象となる相互結合網をクロスバ網の中に予め埋め込んでおく方式を新たに提案して,シミュレーションの高速化を図ることにした. 8×8のクロスバスイッチについては,その論理設計を完了した. 2.可変構造型並列処理計算機のための要素プロセッサの開発:要素プロセッサの論理設計を完了した. この際,疎結合/密結合のメモリイメージをハードウェアレベルで効率よく高速にシミュレートできるように考慮した. また,システムソフトウェアについては,提供すべき機能および必要なプリミティブを洗い出した. さらに,効率のよい並列処理記述が可能な高級言語およびその処理系を現有のワークステーション上で開発中である. 3.プロセス数の爆発防止と動的負荷分散方式の研究:待ち行列モデルを用いた理論解析により,プロセッサへの負荷があるしきい値を越えた場合に,そのプロセッサへの入力を規制する方式が有効であることを明らかにした. この場合,負荷情報を各プロセッサへ送信する必要があり,このとき送信のための遅延が生じる, そこで,本方式においてこの遅延時間の影響を定量的に検討した. その結果,本方式の制御特性は,遅延時間の短いところでの変化に敏感であることを明らかにした.
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