研究分担者 |
半田 康延 信州大学, 医学部, 助教授 (00111790)
泉 隆 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (80193374)
二見 亮弘 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (20156938)
清水 孝一 北海道大学, 工学部, 助手 (30125322)
伊福部 達 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (70002102)
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研究概要 |
(1)手の指, 手関節, 肘, 肩の動作について健常者の随意運動時の筋活動電位(EMG)を多チャネルで記録し, 機能解剖学の立場からの分析を行いバイオメカニズムシミュレーションの基礎データをおさえた. (2)我々が最近提案した多チャネルEMGの発火パターンを参照して刺激パターンを発生するアルゴリズムを, 手の指, 手関節, 肘という階層的な構造を有する神経筋系の制御に拡張し, 臨床的に極めて有効であることを示した. これは, 新たに開発した「マスター・スレーブ」方式の48チャネル機能的電気刺激(FES)システムを用いて行った. (3)頚髄損傷患者は運動機能ばかりでなく感覚系も麻痺している. FESで発現された手, 指, 肘などの変位・移動の情報を撲者の肩への電気刺激によって感覚フィードバックする具体的な方法として, ファントムセンセーションを利用した一方向移動感覚の呈示条件を明らかにした. (4)FESで発現される把持の巧緻性について, 患者自身がCRTを介して会話的にパラメータを修正する学習機能を付与することができた. (5)当初の計画には記しておかなかったが, FESによる麻痺肢の制御において極めて重要な「神経刺激電極」について, 従来の市販品に比して, 格段に柔軟性に富み, 機械的強度が大である「生体内埋め込み用多重撚線電極(25μm, 19本)」の開発に成功し, 量産化の見通しを得た(メーカと協同研究)ことは, 本研究を推進し, 多チャネルFESによる麻痺肢の制御の実用化をはかる上で重要である. 昭和63・64年度にはこれらの成果の上にたって, 多チャネル神経・筋系のバイオメカニズムシミュレーションを進めながら, 本格的な階層制御機能を有するFESシステムの開発を進めたい.
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