研究概要 |
1.目的 高速ディジタルシステムにおいて障害となる電磁誘導障害や,浮遊容量による遅延等の悪影響を避けるには光ディジタルデバイスを用いた光システム化が期待される.本研究では可飽和吸収領域を有する双安定半導体レーザを用いてギガビット/秒の領域におけるディジタル信号の時間分割多重化の可能性につき,実験的,理論的に検討を加え,その到遅限界を明らかにすることを目的とする. 2.研究の方法 まずInGaAsP/InP 不均一注入双安定半導体レーザの高速化設計および試作をおこなった.活性領域中でのキャリヤ再結合寿命を短かくするために不純物密度を高くする試みをおこなった.また印加する電流パルスがCR時定数の影響で波形劣化をするのを抑えるために並列容量の少ないデバイス構造としてレーザストライプ構造の両脇にエッチング溝が堀りこまれている断面形状を採用し,沖電気研究的の協力の下に試作に成功した.試作されたレーザは室温連続発振し,不均一注入条件下で安定に双安定動作を示すことが確認された. また,光クロックパルス発生を目的にInGaAsP/InPDFB構造レーザの利得スイッチング実験をおこない,半値全隔13〜20ピュ秒を得ることが出来た(ストリークカメラによる観測). 3.主要な成果 パルス電流によりスイッチングをおこなう際の最大繰返し周波数を制約する要因について検討したところ,オフパルス印加後,可飽和吸収領域の吸収回復過程が充分進行しない場合に発生する自動ターンオン現象が主要な制約原因であることを実験的に見出した.この時間はオーバドライブを大きくすると短縮されるが,帰界的な状態ではストカスティックな不安定スイッチング現象が見出され,雑音スペクトルがSINC関数状となることがわかった.
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