研究課題/領域番号 |
62460132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 武志 東京大学, 工学部, 教授 (70010791)
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研究分担者 |
田中 稲実 東京大学, 工学部, 助手 (90134460)
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キーワード | 光ディジタルデバイス / 光双安定性 / 半導体レーザ / マルチプレクシング / 超短光パルス / 化合物半導体 / InGaAsP |
研究概要 |
1.目的 高速ティジタルシステムにおいて障害となる電磁誘導障害や浮遊容量による遅滞等の悪影響を避けるには光ディジタルデバイスを用いた光システム化が期待される。本研究では可飽和吸収領域を有する双安定半導体レーザを用いてギガビット/秒の領域におけるディジタル信号の時間分割多重化の可能性につき、実験的、理論的に検討を加え、その到達限界を明らかにすることを目的とする。 2.研究の方法 第一年度目に得られた双安定半導体レーザの過渡応答特性についての実験的知見、ならびに光伝導体との組み合わせによる光トリガ方式マルチプレクシングの概念提案を踏まえて、2チャンネルのマルチプレクシング基礎実験をおこなった。すなわち、2個の双安定半導体レーザにはそれぞれ2個の光伝導デバイスが接続され、これを合計4個のパルス動作半導体レーザ(うち2個は光クロックパルスジェネレータ、2個は各チャネル光信号源)によって駆動される。各双安定半導体レーザはオンパルスとオフパルスの間だけ一定の光出力を出す。5MHzの繰り返しでの実験をおこない、クロストークのないこと、1以上のファンアウトの得られることを確認した。 3.双安定半導体レーザの不安定性、特にカオス動作、についての検討双安定半導体レーザは強い非線形システムであるために双安定動作をするのであるが、同時に動作条件や構造パラメータの如何によって自励パルセーションや決定論的不規則動作(カオス状態)を示すことがありうる。セルフパルセーション動作を示す双安定半導体レーザに強い電流変調をかけたときに多重周期性を経由してカオス状態に移行することが確認され、計算機シミュレーションによって定性的なふるまいが理解された。このように双安定半導体レーザの不安定性はきわめて限られた領域でのみおこることがわかり、工学的実用性が言えた。
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