〔研究の目的〕本研究の目的とするところは高速、大容量のディジタル情報伝送・処理の新して方式として双安定動作する半導体レーザを用いた時分割多重化の基礎実験を行ない、デバイス物理的な観点からその実現可能性および限界を明らかにすることである。 〔研究の方法〕本研究の目的を達成するため、(a)デバイス試作、(b)デバイス過渡応答の測定と解析、(c)2チャンネル光パルストリガ方法マルチプレクシング動作の基礎実験の実施、(d)双安定半導体レーザの不安定性等にカオス現象の観測と理論解析、の各手法を適用した。 〔主要な研究成果〕(1)双安定半導体レーザを高速にスイッチオンするには吸収領域に短い電流パルスを注入するのが有効であり、スイッチオフするには利得領域に負の電流パルスを印加するのが有効であることがわかった。 (2)トリガ用のクロックパルスを各素子に分配する配線のふくそうに基づくクロストーク障害を防ぐために、高速の光伝導デバイスを複合化した光トリガー双安定デバイス構造を提案するとともに個別デバイスの結合による原理実験を100MHzの繰返し周波数で実施し、ファンアウト特性、入射光波長に対する柔軟性、が示された。 (3)2チャンネルの光トリガ方式時間領域マルチプレクサの基礎実験を行ない、本方式の原理的な実現可能性を確認した。 (4)不均一注入半導体レーザは双安定動作するとともに動作条件、構造パラメータの選択に依り、自励発振、不規則振動などの不安定性を示すことがある。カオス動作につき、実験的理論的に詳しく調べ限定された動作領域で多重周期性を経由してカオス状態に至ることが示された。 〔まとめ〕高速化光TDMについて検討し、1Gb/s以上が可能、と推定した。
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