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1987 年度 実績報告書

バリスティック電子の回折をもちいるIn Ga As超高速トランジスタの基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 62460133
研究機関東京工業大学

研究代表者

古屋 一仁  東京工業大学, 工学部, 助教授 (40092572)

キーワード電子波 / 電子波回折 / 高速デバイス / ホットエレクトロン / バリスティック伝導 / 有機金属気相成長法 / 電子ビームリソグラフィ / GaInAs / 超格子
研究概要

本研究は, 半導体内で高加速電子が無衝突伝導する範囲内に極微構造を作り込むことによって電子流を制御する新原理の超高速トランジスタ実現のための基礎を築くものである. まず, 初年度は, 半導体内の無衝突電子伝導を実験的に調べ, また, 電子波回折現象の理論的解明を進めてデバイスへの応用の可能性探求を行い, 以下のような成果を得た.
有機金属気相成長(OMVPE)法で, 成長条件を注意深く把握することにより, 極めて急峻なGaInAs/InPヘテロ接合界面を得て, GaInAs結晶内へのホットエレクトロン注入を達成した. さらに極薄結晶層を形成することによりその中でのほぼバリスティックな電子伝導を観測することに成功した. この実験から, GaInAs結晶はホットエレクトロンの平均自由行程が約200nmと, 従来のGaAsの2ー3倍も大きく, バリスティック電子デバイスに向いた材料であることを明らかにし, この結果を学会論文誌に出版した. さらにGaInAs/InP超格子端面にショットキー接合を形成し, ホットエレクトロン注入時の電子波回折現象を観測した. 目下, 確認実験を行っており暫時公表の予定である. また, 電子ビーム露光法の開発によりInP結晶表面に幅15nmの細線形成を達成し, 電子波長オーダの構造加工に対して見通しをつけた.
電子波回折現象を用いる超高速トランジスタの概念を学会論文誌に出版公表した. そして電子波回折現象のより詳細な理論解析を進め, GaInAs/InP結晶系中に形成したポテンシャル回折格子により90%の電子を0.1Vの電圧でスイッチできることを明らかにし, 超高速トランジスタの可能性を示す基礎データを得た. 一方, 電子波の回折と光の回折との本質的な差異になど, 半導体内における電子波回折を用いる新しいデバイスに関する学問的知見を得た. 以上, 電子波回折をもちいる新しい電子デバイスのための基礎的理解を深めた.

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公開日: 1989-03-30   更新日: 2016-04-21  

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