2年の研究期間において、実験に先立ち実験装置の強化改良、新規設計、製作など整備強化を行った。先づ多波長発生にための色素励起用紫外域レーザ光源として、高効率、高エネルギー窒素レーザについて、従来殆んど考慮されなかったスパーク間陳内の抵抗値の出力光への影響など、シミュレーションによる設計、実験を行い、全効率0.18%、4.2mJなど、LC反転型の世界的トップクラスの値を得ている。成果は米国Rev.Sci.Instrum.誌(1987年9月)に掲載された。これと並行して、窒素気流が光路と直交する型の窒素レーザの試作を行い、同規模の並行型と比較し2倍以上の出力を得ている。(J.Appl.Phys誌、1988年)。色素レーザの同時多波長発生に関する基礎研究では、エネルギー移動の可能性につき理論的予測を行うとともに、2〜3種類の混合色素系の発振実験を行った。色素は青色領域のCoumarin460、緑領域のDisodium Flaorescein、赤色領域のNile Blueを用いた。混合実験に先立ち、利得計算および実験により発光強度が最大になる最適濃度および発振閾値濃度を明確にした。混合色素系では、色素の種類により発振閾値の変化(低下)が確認された。これはエネルギー移動が効率よく行われていることを示す。発振波長の濃度依存性について、2〜3種混合系の理論計算および実験より、2種混合色素では青と緑、緑と赤、赤と青の領域で、組み合せ如何によらず2波長同時発振が生ずることを実証した。3種混合色素系では、完全領域での3原色同時発振までには至らなかったが、広い領域で3波長同時発振が得られ期待通りの成果が得られた。高励起エネルギー化による完全な3原色同時発振、また実験中観測された第3のスペクトルの発生の機構の解明など今後の興味ある課題である。成果は論文誌に発表した。なお本研究ではイメージセンサを用いた瞬時多波長分光計測システムを開発、製作して用いている(電情信学会論文誌1988年1月)。
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