減圧練りコンクリ-トの諸特性に関しては、昨年度の予備試験で認められた好ましい特性、すなわち、空気量およびスランプの経時変化が通常のコンクリ-トの場合より小さくなることが何れの配合や混和剤を用いた場合でも認められた。また、スランプの経時変化が少ないために、15分後におけるスランプが大気圧下で練ったものより大きくなる場合もあることが確認された。一方、減圧練りまぜ法によって得られるコンクリ-トの空気量1%の減少に伴う圧縮強度の増加率は、水セメント比や材令にかかわらず5%であり、減圧練りモルタルあるいは通常のコンクリ-トの場合と全く同じ値となることが示された。しかし、減圧練りコンクリ-トの場合には、大気圧下に解放した直後までに連行されている気泡は理論的に予期したものに近い状態にあるが、ミキサからの排出時に多量の空気が外部から混入し、通常の空気量の範囲では、ミキサから排出後の空気量は大気圧下で練った場合と比べて平均して約1%小さくなるに過ぎなかった。このため、減圧練りまぜ法の採用による圧縮強度の増加は最大でも10%程度であり、高性能減水剤を用いた高強度コンクリ-トの強度増加率も僅か3〜5%程度に過ぎないことが判明した。また、ミキサからの排出時に混入する空気は大きな気泡であるため、同等な耐凍害性を付与するに必要な空気量の値は、通常の場合より約0.5%小さく出来るに留まることが認められた。 上記のミキサからの排出時の気泡混入の主因に関しては、大気圧下に解放された際に噛み合いが生じた骨材粒子間をペ-ストが圧縮応力を受けて移動するとペ-ストと骨材粒子の界面に負圧が生じると考えられるが、コンクリ-トの排出時にこの負圧部分に外気が混入した影響と考えられるのであって、このような現象が実際に生じている可能性が高いことを示唆する気泡の状況が顕微鏡を通しても観察された。
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