ボイルの法則を応用した減圧練りまぜ法をコンクリ-トの練りまぜに適用する場合の問題点や減圧練りまぜ法で製造したモルタルやコンクリ-トの性状を基礎的に調べた。本研究で得られた主な知見を以下に示す。 1.水の蒸気圧まで減圧した場合の水の損失速度は、主に排気装置の容量によって決まる。しかし、実際のコンクリ-トの製造に用いる装置の規模や減圧時間を考慮すると、この程度まで減圧しても、減圧練りまぜ中における水の損失量は工学的に無視できる程度である。また、水の損失によるコンクリ-トの温度の低下も生じない。 2.ミキサからの排気用バルブのオリフイス径が真空ポンプの容量に比べて十分に大きいならば、所定の絶対圧に達するまでの所要排気時間は理論的に求める排気時間と良く一致する。 3.セメントペ-スト、モルタル、コンクリ-ト、などを減圧条件下で練りまぜた場合でも、大気圧下におれる場合と大差の無い量の気泡が連行され、連行された気泡は概ねボイルの法則に従って挙動する。しかし、モルタルやコンクリ-トの場合には、これらを、大気圧下に解放後にミキサから排出したり、大気圧下で攪拌混合する際に相当量の気泡が大気から混入し、減圧練りまぜ法に期待される効果が損なわれる。 4.上記の悪影響は、混合物が大気圧下に解放される際に生じる骨材粒同志の噛み合いが直接的な原因となっており、骨材量が多くなるにつれて大きくなる。この結果、当初に期待した減圧練りまぜ法の効果は、モルタルの場合は半減する程度であったが、コンクリ-トの場合には工学的には無視すべき程度のものとなった。 5.減圧練りまぜ法で製造したフレッシュコンクリ-トは、空気量およびスランプの経時変化が通常の練りまぜ法に依った場合より相当に小さい特徴を有している。また、振動などに対する空気量の変化も通常より少ない。
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