研究概要 |
土質材料の岩質材料の物性の差異を把握することは地盤工学上きわめて重要なことである. しかしながら,両者の変形・強度特性は広範囲にわたり,実験装置に要求される耐力・剛性・圧力等も異なり,両者を同じ試験装置で実験することは困難である. 土質材料に比べ,約200倍の圧力まで取扱うことのできる一面せん断試験を実行することが一つの目的であるが,油圧制御に乱れがあり,変位制御を厳密に行いたい研究者らの期待に添わなかった部分があり,現在改良中である. 孔内載荷試験,孔内き裂調査は順調に進み画像処理システムとして完成した. これについては,すでに数点の論文発表を予定している. トンネル支保工の最適化を計る上での施工の実体を調査することは必要な作業であり,12ヶ所のトンネルより新鮮なデータの提供を受け,支保圧力・変形量・非弾性域の進展・他山分類などの相関性についてもかなり多くの知見を得た. ダイレイタンシー特性が把握できれば実用的な分類として使用できる見通しがついている. 弾性波の伝播挙動から不連続面の性状やダイレイタンシー特性を推定する検討もP波からS波に移り,周波数特性も分析していて,かなりまとまった. これも一部学会発表を行っている. 第三記泥岩については,せん断試験用にブロックサンプリングを行ったがひじょうに脆弱で整形が難しく工夫が必要である. 総じて,定変位せん断試験が予定通り機能すれば目的を達することができる状態にある. 岩盤と支保工の相互作用を数値解析によりパラメトリックスタディを行う作業は,予定の60%位進捗したと思われる.
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