研究計画にもとづき、下記の研究を行った。三軸圧縮試験については、従来の段階載荷法では破壊応力を精密に測定できないので、今年度はこれをひずみ制御とし、これに伴って間隙水の流動を抑制する必要から全応力一定条件となるように側圧を自動制御し、排水条件は非排水とした。実験の経過を見るに、側圧の制御が収束するのに時間がかかり、連続的にデータ収録機が動作し、しばしば故障を起した。その結果十分な量の実験は行えなかったが、排水条件によらずに全応力〜サクション〜ひずみ関係が決まるという見通しを得るなど、構成方程式の組み立てに重要な結果を得ることができた。 土槽実験については、前年度の継続分を行い、テンシオメーターとサイクロメーターの性能を確認できた。一方、土槽が細長い円柱形であるために、土層の下部から注水した場合、土層の中央高さから下方だけが毛管城に入ってコラプスを起し、結果的に土層に水平なクラックができて、それより上部まで毛管領域が発達しなくなる現象も見られ、大断面の土槽による実験の必要性が認められた。 野外実験については、かって地すべりを起した自然斜面に、含水量測定機、サイクロメータ、テンシオメータをそれぞれ深さ1m、0.5m、0.2mに埋説し、別途測定されている地下水位と降雨量との相関等を見ている。未だ観測期間が6ケ月であるので十分な資料が得られていないが、地表近くでサイクロメータとテンシオメータの両方の測定限界である0.8〜0.9Kgf/cm^2のサクションが現れることが多く測定が困難となっている。早急に改良機を製作しなければならない。
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