研究概要 |
1.地盤内サクション等の現場測定:神戸市灘区青谷地区の崩壊歴のある山腹において、地盤内サクション、含水比、地下水位、降水量を継続的に測定した。サクションの測定は、地表から25cm、50cm、100cmに埋設したテンシオメ-タ-とサイクロメ-タ-によって行った。現地のサクションの値は0.2kgf/cm^2以内であったため、テンシオメ-タ-の方が安定した値を示した。含水比は誘電式のものによった。サクション,含水比とも降雨に反応したが、サクションの方が敏感であった。 2.サイクロメ-タを用いた室内試験:現地のサクションがサイクロメ-タ-の測定限界以下であったため、高さ30cm直径20cmのモ-ルドに現地の土を入れ、3つの深さにサイクロメ-タ-とテンシオメ-タを埋設して、上面からの水の蒸発に伴うサクションの増分を測定し、また別途含水比も測定して水分特性曲線を求めた。ただし、テンシオメ-タ-については、測定上限(約0.8kgf/cm^2)以後は、器体からの水の流出を避けるために取り外した。また、テンシオメ-タ-の検定や少量の試料のサクションを測定するためのサンプルチャンバ-を自作し、性能を検討した。 3.三軸圧縮試験:スラリ-状とした飽和カオリン粘土を試料作製用大型圧密容器で圧密して飽和試料を作った。これをひずみ制御法でCD三軸試験(サクション制御)した。圧密過程で、一部の供試体にサクション履歴を与え、軸圧縮過程に及ぼす影響を調べた。従来の締固め供試体についても同様に試験した。 4.安定計算:現在、現地の試料の三軸圧縮試験を準備中である。この結果を得てから、すでに開発した理論式を用いて降雨に伴う現地の安定性の変化を算定する予定である。
|