研究概要 |
新潟地震や日本海中部の際にみられたように, 地盤が液状化すると電力, ガス, 通信, 上下水道等のライフラインは甚大な被害を受けてきている. ところがその被害の実態は詳細には調べられていなく, どのようなメカニズムでライフラインが被害を受けているのが明らかにされていない. また被害予測手法に関しての研究もまだあまり行われていない. そこで, 本研究では, 地盤が液状化した場合に各種ライフラインが受ける被害のメカニズムを既往震害事例の調査や模型振動実験をもとに検討し, 現有のいくつかの解析手法を利用して, 被害を定量的に予測する手法を開発することを目的として行っている. 本年度まず行った研究内容と成果を示すと以下のようになる. (1) 新潟地震や日本海中部地震におけるライフライン構造物の被害と, 液状化による地盤変状状況を現地聞きこみ調査も含めて詳細に調査し, 液状化と構造物被害の因果関係を定性的に検討した. その結果, 液状化にともなう地盤の沈下や変位振幅の増加以外に, 地盤全体が大きくすべる"永久変位"が被害に大きく影響を与えていたことが明らかとなった. なお, 永久変位に関しては福井地震に対する調査も行っている. (2) 液状化にともなう地盤変状を予測する手法, およびこれらの地盤変状によりライフライン構造物が受ける被害の予測手法に関し, 既往の手法の収集, 整理を行った. (3) 模型振動実験により, 埋設管に対する地盤の拘束力に関する実験を行った. その結果, 地盤が液状化すると拘束力が大幅に減少することが定量的に明らかになった. (4)液状化に伴う地盤の永久変位に関し模型振動実験を行って, 発生のメカニズムを調べた. また, それをもとに有限要素法にて簡易的に解析する手法を考案した.
|