新潟地震や日本海中部地震の際、地盤の液状化に起因してライフラインは甚大な被害を受けた。しかしながら、その被害形態や被災のメカニズムについてこれまであまり明らかにされてきていない。本研究はこの点に関し震害例の調査、実験、解析により研究を行ってきている。 昨年度までの2年間の間には、震害事例の収集・整理、液状化にともなう永久変位の発生メカニズムを調べるための震動台実験、永久変位の解析手法の開発、埋設管に対する地盤の拘束力に関する振動台実験などを行ってきた。これに引続き、本年度は以下のような研究を行った。 (1)ベ-ンせん断試験装置、繰返しねじりせん断試験装置を用いて、液状化にともなう地盤の強度、変形特性の変化についての実験を行った。その結果、地盤の密度や種類、液状化の程度により異なるが、液状化により変形係数が1/1000程度までも減少することなどが明らかにされた。 (2)(1)の結果を昨年度までに開発した永久変位解析プログラムに適用し、永久変位の解析手法を確立させた。また、対策工法についても提案を行い効果について検討を行った。 (3)液状化にともなう埋設管の被害について定量的な解析を行った。ここでは、解析段階を液状化発生時の動的変位、液状化後に生じる永久変位に分け、それぞれの時点で鋼管や塩化ビニ-ル管に生じる応力についていくつか解析を行った。この解析には応答変位法を用いたが、その中に液状化にともなう拘束力の変化も考慮するようにしてある。 (4)震害事例、模型振動実験、室内繰返しせん断試験および解析結果を総合して、液状化によるライフライン構造物の被害の定量的予測手法について検討を行った。 (5)3年間の研究成果をまとめて報告書を作成した。
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