研究概要 |
本年度における当該研究では,有機塩素化合物,希土類元素や重金属などの有害性物質を対象として,製品・廃棄物中におけるそれらの存在様態と埋立地からの浸出実態の各種調査,並びに埋立地内におけるそれらの溶出・移動等のモデル化と室内実験による検証をおもな内容としている. 廃棄物及び焼却灰中の有機塩素化合物等の含有と処分地におけるその浸出挙動の調査(研究項目3)では,トリクロロエチレン等の低沸点有機塩素化合物については焼却灰中はもちろん浸出液中にも有意に検出されなかった. また希土類元素については焼却灰中には含有されていない見通しを得つつある. しかしながら,浸出液中から未同定ながらも有機塩素化合物が検出され,現在も追跡調査を続けている. 埋立層内における有害性物質の移動と変化(項目5)については,蒸発の影響下における水と金属,塩素,COD物質,有機塩素化合物などの移動特性をカラム実験により把握し,表層における物質濃縮現象等を明らかにした. また焼却灰充填カラムを用い降雨パターンを変化させた実験では,汚濁物質浸出挙動について数多くの知見を得た. これに基づいて,水と汚濁物質の層内移動及び降雨下の浸出挙動について,偏微分型式並びにコンパートメントモデル(浸出挙動については水みちをも考慮)による解析を試み,同モデルが埋立層内における汚濁物質の移動と浸出水の量・水質予測に適用しうることを示した. 低沸点有機塩素化合物については,さらに揮発・気相拡散をも考慮した固・液・気相の収支モデルを構成しシミュレーションしたところ,その層内移動の実験結果と傾向的に一致することを見出した. 希土類元素,有機塩素化合物の製品,廃棄物中の存在実態(項目1,2)については当初予想していた以上に情報収集が容易ではないが,有機塩素溶剤を中心に整理を進めており,溶出特性把握を含めて一部実測をも行いながら研究を継続中である.
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