研究概要 |
高層建物の強風下の応答評価については, 風方向振動については バフェッティング振動, 風直角方向および〓れ振動については, 主に側面に生ずるストローハル数による周波数成分を中心とした強制ランダム振動と考えることができる. 本研究第一年次としては, それらの応答評価手法について, 既往の研究の成果をとりまとめ問題点を抽出し, 予備的風洞実験を実施するとともに, 次年度以降の研究の重点項目を整理した. 具体的には, 自然風と風洞内気流の相似性の問題の中で, 風向変動の評価が, 第一に指摘できる. そこで, 市街地における自然風観測との対応を検討する風洞実験を4種類の角柱モデルに対し, 実施した. 塔屋位置を3種類に変化させ, 自然風観測と比較できる形で, 建物上方において, 測定位置, 方位を変化させながら, 気流に現われる変化を計測した. 平均風速および乱れの強さを主に, 適宜パワースペクトルも求めた. 全体的傾向としては, 従来から了解されているように, 軒から30°の面がひとつのめやすを与えることは確認されたが, 風向との関係において, それも大きく変わること, 乱れの強さの変化する範囲を定量的に表示することなどが新しい知見として得られた. 風向変動を直接的に風洞内には再現できないため, 観測結果との比較からどの部分を風向変動に起因するか断定するのは困難であるが, 特に風速パワースペクトルの抵周波数領域での傾向の評価を今後の検討課題としたい. また,6分力計による変動風力の計測も併行して行ったが, 解像度, 信号の安定性から, 必らずしも所期の成果を得るに到らず, データ処理を検討中である. 次年度の重点項目としては, 断面形をさらにパラメリックに変化させ, 変動風力の直接計測を高精度で行うこと, および, 自然風観測から得られる風向変動を解折的に応答評価に反映することに設定した.
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