研究課題/領域番号 |
62460167
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岸田 英明 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (30016513)
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研究分担者 |
上杉 守道 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (20151780)
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キーワード | 摩擦 / 粘土 / 鋼 / 直接せん断試験 / 間隙圧 / 圧密非排水せん断 / 有効応力 / 室内実験 |
研究概要 |
昭和63年度は、昭和62年度の成果に基づいて、粘土と鋼材との間の摩擦に関して更に詳細な検討を行った。摩擦抵抗に影響を及ぼす要因として、鋼材の表面粗さ(5種類)と載荷速度(2種類)を取り上げた。鋼材の表面粗さは、基準長さを0.2mmとしたときの最大高さRmax(JISB 0601)によって評価し、その値は、1、5、10、15、30μmである。 比較用の粘土のせん断試験で使用したせん断試験機(一面せん断型)は昭和62年度とは異なり、せん断箱下箱を薄くしている。これは、せん断箱下箱を鋼材に置き換えた試験機を使用している摩擦試験と、合理的に比較するためである。摩擦試験の概要は次の通りである。試験は圧密定堆積条件で行い、載荷は全て静的一方向載荷である。また粘土の圧密圧力は3.0kgf/cm^2、全変位量は10mmである。鋼材面上では間隙水圧を測定している。次に実験結果について述べる。 最大せん断応力τmaxを発揮するとの変位量は、載荷速度によらず鋼材面が粗くなるほど大きくなるが、Rmaxが10〜15μmより大きくなるとほぼ一定になる。この上限値と粘土のせん断試験における変位量とはほぼ一致する。τmaxおよび残留せん断応力τrはともに鋼材面が粗くなるほど大きくなり、Rmaxが10μm以上になると一定となる。しかし、τmaxが載荷速度の影響を受けるのに対してτrは影響を受けない。この傾向は、粘土のせん断でも見られる。τmaxの載荷速度の影響は、鋼材面が滑らかになるほど小さくなり、Rmaxが10μm以上だと一定となる。有効応力表示の摩擦角は鋼材面が粗くなるほど多くなり、Rmaxが10μm以上になると一定になる。またこの上限値と粘土の内部摩擦角の値とで良い一致が見られる。以上の実験結果により、鋼材面の粗さには摩擦挙動が変わる値(Rmax=10μm)が存在し、これより滑らかだと鋼材面で滑りを生じ、粗いと粘土内部で破壊を起こすことが分かった。
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