|
1.研究目的
本研究では、地震力を受ける鉄筋コンクリート造ウォールガーダーの耐震じん性能に及ぼす力学的条件を実験と解析によって明らかにし、その結果を耐震設計上の資料に資することを目的とする。
2.研究方法
上記の目的のために、2年度にわたり合計27体の梁の加力実験を行ない、ウォールガーダーの耐震性能に及ぼす諸要因について検討を行なった。また、梁の軸方向変形挙動を観察し、それが拘束された場合に影響される強度変形関係を推定する方法を検討した。
3.研究成果
本研究によって以下の事項が明らかにされた。
(1)多段配筋されたウォールガーダーの曲げ降伏点は、梁主筋の降状によってほぼ特定できる。
(2)軸方向変形が拘束されると曲げ強度が著しく増加する。軸方向変形の拘束によって生じる拘束軸力が分かれば、その値を外力とみなして終局強度理論によってウォールガーダーの曲げ強度は計算できる。
(3)軸方向変形の拘束力は、梁を剛体とみなした簡単なモデルによって概ね推定することができる。
(4)スラブは梁の曲げ抵抗に関係し、梁の軸方向変形拘束作用にはあまり関係しない。
(5)せん断スパン比が1.5以下のウォールガーダーに1/100以上の変形能力を期待する場合には、せん断設計で要求される肋筋量以上のせん断補強筋が必要とされる。
(6)肋筋問隔を主筋径の6倍程度とすると、圧縮鉄筋の座屈が防止でき、靱性が向上される。
|
