1.前年度に行った、文部省の基本設計費に対する補助制度を導入した教育委員会に対するアンケート調査結果について、特に、基本計画・基本設計の組織耐性の在り方の視点から分析を行った。 2.上記の調査対象の一部と特色ある計画例を対象に選び、教育委員会に対して計画の経緯、進め方、設計者選定等、また学校に対して計画の参加状況、評価、完成後の施設の運営状況等についてヒヤリング調査を行った。 3.筆者らが本研究期間中に直接基本計画・基本設計の策定に関わった4校について、その記録をとり、設計期間における検討の進み方、決定の方法や主体、教師参加、プランナーと設計者の役割分担等について分析を行った。 4.既往の研究の整理を行い、本研究と関連する内容として、多目的スペースの補助制度を導入した教育委員会に対するアンケート調査から基本計画・基本設計に関する部分、筆者らが計画を行った学校の教師に対する計画への参加についての評価結果等と対照して比較・分析を行った。 5.以上をもとに、他の研究者・設計者・行政担当者との本研究に関わる意見交換を行いながら、学校建築の基本計画・基本設計プロセスに関する総合的な分析・考察をまとめた。その主な項目は次の通りである。(1)教師の参加については、計画の手順、教育と施設に関わる多様な動向等について情報提供を十分に行うことが、計画の幅を与える上で必要。(2)基本構想・計画・設計、実施設計・家具計画等の各段階で検討すべき内容・項目を整理し、それに対する情報提供の保証し、時間をかけることが大切。その際、前段階での考え方の趣旨の後への伝達、後段階での裁量の幅をもたせることが大切。それには、各段階を通して技術、教育面から総合的な役割を果たす役割が必要で、これがプランナーに期待される。単年度事業形態、設計者の選定方法・時期等の行政面での改善も必要。
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