研究概要 |
1.環境変化市街地の設定 二つの状況から調査対象地区を選定した. (1)近年において共同建替えを実施した事例・計画中の事例について概要調査をおこなった. すなわち, (1)老朽公営・公団住宅における一室増築・住戸改善事業のプロセスと効果, 問題点を分析した. (2)民営木造賃貸アパート老朽化地区において, 地家主の自主更新および住宅公団・自治体等が支援しておこなう共同更新事業について, 実施の動機, 経営システム, 問題点について調査分析した. この場合に, 物的存在しての住宅だけでなくて, 居住者の住み変え, 住み続けの困難さや居住保障の条件について主要な側面(複数)をとり出した. (2)公営住宅老朽化団地のうち, 現状続行のものおよび共同建替え計画中の団地を事例として次のような調査をおこなった. すなわち, (1)入居後, 数十年を経た公営住宅団地においては, 若壮年令層の流出と高令者家族の滯溜が, 住宅そのものの老朽化とともに進行している. また. 高令者・福祉優先ワク入居者が増加することで, コミュニティ活動の推持が困難になっていることが明らかになった. (2)公営住宅の共同建替え事業は, 老朽住宅・住環境ストックをいっきょに改善向上する上で効果が大きいが, 家賃の上昇によって継住困難になる事があること, 収入超過者の排除は, コミュニティの年令構成をいっそうアンバランスにしていること, 高令化, 単身化, 孤立化に対してケアーサービスが大きなニーズとして要求されていることがわかった. 2.以上の考察から, 環境悪化地区の住宅共同建て替にあてっては, 物的改良に先立って, さまざまな社会的な居住保障のプログラムを立案する必要が明らかになった. そこで, (1)多様な世代・世帯の混住のあり方, (2)団地と周辺をふくむ高令者のためのディケアーセンター化のあり方, (3)民生行政と住宅政策の協同内容について試案を作成.
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