研究概要 |
本研究は, 様々な実験や実態調査に基づき, 病院病棟部における疾床周辺環境の適正な規模・構成を求めることを目的とするものである. (A)入院患者の生活の場としての疾床周辺環境,(B)看護婦,医師の看護・治療の場としての病床周辺環境 の2つの側面に分けて分析・考察を行なうが, 本年度は(A)の側面からの検討を行なった. 本年度の主たる成果は以下のとおりである. 1.病床周辺環境に対する患者意識領域に関する実験・調査 (1) 病床周辺のパーソナル・スペースに関するシミュレーション心理実験:様々なベッド間隔,病床規模の疾室を模擬的に再現し, 模擬患者に評価を求めるシミュレーション実験を行なった. この分析から, ベッド間隔120〜150cm程度が幼者にとって心理的に快適と感じられており, コレ以上スペースを広くとっても, 不安定感など,かえって評価が下ることを見出した. (2) 入院患者の病床周辺環境に対する意識・評価を求める調査:地方を含む計6病院 延620名の実際の入院患者に対して, 自らの病床周辺環境にどのような評価・意識を持っているかを問う実態調査を行なった. ベッド間隔が広くなると, 負の評価が〓減する明瞭な傾向があることなどを尊びいた. 2.病床まわりの患者生活動作領域に関する実験・調査 (1) 患者生活動作のシミュレーション実験:食事,会話・面会等々の基本的生活動作を抽出し, 模擬幼者による模疑病床での生活展開シミュレーションを行なった. VTR計測の手法により必要とされる各行為毎のスペース,ベッド間隔を尊びいた. (2)幼者の生活実態の収録調査:疾室規模,ベッド間隔の状況が異なる2病院,6疾棟において患者の生活展開の実態を収録する観察調査を行なった. 疾室の規模や, ベッド間隔の大小が, 入院患者の生活展開に少なからず影響を与えていることを具体的に示した.
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