本研究は、様々な実験や実態調査に基づき、病院病棟部における病床周辺環境の適正な規模・構成を求めることを目的とするものである。(A)入院患者の生活の場としての病床周辺環境の在り方、(B)看護婦・医師の看護・治療の場としての病床周辺領域の必要規模 の2つの側面からの多角的検討を行なっている。 このうち本年度では、主として次の3つの立場からの調査・実験、及びその解析を行なった。 1.看護動作シミュレーション実験による病床周辺の必要作業領域に関する検討 実験病室における看護動作シミュレーションの結果を詳細に分析し、必要作業領域として、キュービクルカーテン内寸法として120cmが必要かつ妥当であるとの結論を導いている。 2.病室の家具配置の実態に関する調査 都内全病院に対する郵送アンケート調査によって、病室の家具設置の実態を詳細に分析し、病室の面積などによって家具の設置率等が影響を受けているなどを示した。 3.病棟における患者の生活領域の形成と患者の生活実態に関する調査・分析 全国5病院10病棟において病棟内の家具等の配置実態に関する実測調査を行ない、あわせて患者の生活実態を観察・収録した。これ等の多角的分析により、患者の生活領域形成に関する法則性などを指摘し、病室の建築計画にかかわる知見、留意事項を整理した。 以上の結果と、前年度の成果を総合し、病室における病床周辺環境の在り方について、面積規模、寸法、建築的構成、家具構成などの観点に基づいた提言をとりまとめている。
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