研究課題/領域番号 |
62460179
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
内藤 昌 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024192)
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研究分担者 |
若山 滋 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (00167090)
渡辺 勝彦 日本工業大学, 工学部, 教授 (50049706)
松岡 元 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90027277)
小野 徹郎 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30024300)
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キーワード | 城郭石塁 / 勾配 / 扇の勾配 / 縄張り |
研究概要 |
本年度は石塁構築技術に関する諸史料をさらなる解明を主として行った。ここで取り上げる諸史料は「後藤家文書」「石垣築様目録」「石垣組立秘伝」「石垣秒伝書」「軍詞之巻」「海国兵談」「鈴録」「その他の兵法書」である。「後藤家文書」にある設計法は単位高さ上がるごとに水平方向に一定の長さづつ勾配を起こして反りをつける方法である。後藤式は分割数が増すにつれて放物線の内側、すなわち石垣の外側は放物線に近くなる。構築技術については9種類の石積法に分類することが出来る。「石垣築様目録」は丸亀城に関わりがあり平面的にも反りが付けられている。また単位高さ当りの水平方向の長さ「矩」で示されそれを単位として反りを付けている。「石垣組立秘伝」は8頁にわたる絵図で勾配について記述している。下から10分の6までは高さ1間につき水平に1尺の勾配、残り10分の4は水平に4寸の勾配を用いて反りを付けている。また地盤により勾配を変化させる指示がされている。「軍詞之巻」では高さ1間ごとに上部より1尺、2尺と順次増大しており俗に扇の勾配といわれるものである。「海国兵談」は全16巻よりなり石塁については第10巻に見られる。ここでは勾配については下縄、緩、槹出の三種類があるとしている。構築技術についても記述があるが単なる分類で力学的考察については乏しい。「鈴録」は全20巻よりなるが石塁については16巻に記述されている。ここでは切込ハギ、打込ハギ、野ヅラの三種類の構築法に対して円を分割した勾配に対応しているとされている。この分割度数については内藤が75°、72°、67.5°の勾配であるとしている。資料によると石垣の勾配を表わすには単位高さ当りの水平方向の長さを用い、反りは単位高さごとに水平方向に一定の長さづつ勾配を起こしてつけるのが一般的である。この方法は施工上簡便である上に平面計画上も便利である。
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