研究概要 |
本研究は炭鉱・金属鉱山における坑内採掘のための保安環境に関する評価並びに制御のためのエキスパートシステムの開発であり,2年度にわたり研究を実施するものである. 本年度は研究の初年度なので,エキスパートシステムの骨格構造を確立することを主な目的とし,エキスパートシステムを作成する場合に必要な保安環境を評価し制御する基本ソフトの開発を行なった. 又現地調査を実施して,保安環境の評価と制御に関する現場の技術者からの情報収集も行なった. 開発したソフトは,1)地表での大気圧・大気温度と扇風機の特性曲線から坑内の総ての箇所での通気量と通気温度の高速計算,2)坑内にメタン等有害ガスが湧出した場合のガス濃度分布の計算,3)坑内の必要な箇所に通気量を確保するための通気ネットワーク特性の評価および4)坑内ネットワーク表示,5)ファジィ推論による風速センサーとサイリスタ型局部扇風機を利用した通気制御方法等である. 現地調査は,坑内保安に関して最も進んでいる炭鉱について,九州の三池炭鉱および北海道の太平洋炭鉱から,坑内保安環境の評価と制御に関する設備の調査を行なった. 両炭鉱においては,今後コンピュータによる制御体制が計画されていることから,それに見合うエキスパートシステムの開発が急務であることを実感した. 本年度の研究成果を基にして次年度は,現場での応用を目的として次に述べる項目について研究を実施する予定である. 1)炭鉱・金属鉱山で利用可能なパソコンによるエキスパートシステムの完成,2)現場においてエキスパートシステムを作成する場合に必要なユーザインタフェースの作成,3)鉱山保安指向型推論エンジンの開発,4)鉱山保安に関する知識データベースを増強するために炭鉱・金属鉱山からの情報の収集,5)坑内ネットワークでの通気状態の可視化,6)通気の非定常解析ソフトの開発による災害時対策システムの開発.
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