研究概要 |
本研究は炭鉱におけるガス突出機構の解明を計ることを目的としている. 今年度の研究実施計画は(1)突出型破壊実験(応力,変位,破壊産物重量等を連続モニタする)(2)ボーリング孔内突出実験(応力,変位,破壊産物重量等を連続モニタする)(3)実験試料及び現場引立面奥部の応力数値計算試験(4)炭鉱におけるガス突出現象の調査・分析である. (1)に関しては一片約70^<mm>の立方体石炭供試体を対象に,これを1自由面(引立勲)を有するように反力枠内にセットし,側圧をフラットジャッキで制御しながら軸圧を負荷する装置を作整し,実験を行なった. その結果,ほとんどの場合引立面から粉炭の突出が確認され,その時の軸荷重岩変位曲線ならびにAEをモニタした. さらに突出炭の粒度分析も実施した. (2)については,縦,横約70^<mm>,長さ約110^<mm>の石炭供試体を使用し,これに側圧,軸圧を負荷しながら,ボーリング可能な装置を作製し,実験を試ろみた. なお本実験においては,供試体に負荷した外力のみならず,穿孔変位,トルク,排出繰粉重量をも連続的にモニタすることができる. 本装置を使用し,穿孔試験を実施した結果,現場でガス突出防止を目的に行なっている大口径ボーリング時に観察される排出繰粉量の急激な増加やジャミング現象を再現することが出来た. これら2つは炭層に作用する地圧に着目したもので,(3)を実施することにより詳細な機構がわかる. 現在そのプログラムも完成し,一部応力数値計算を試みている. (4)も計画通り進展しており,(1)で得られた突出炭と坑内で実際に発生したガス突出時の粉炭を収集し,両者の粒度分析を行ないその結果の比較も実施した. その結果両者間には良い対応も得られている. 初年度における研究計画は順調に進んでおり,これからはさらに多数のデータを蓄積し,これらを総合的に判断し,ガス突出発生の機構を明確化するつもりである.
|