研究概要 |
昭和62年度の研究結果, コバルトの品位が1%前後からそれ以上の鉱床は太平洋底の海山, 海台, 海嶺, 海膨などの頂上から斜面にかけての水深800〜2400mの場所に賦存し, それより以浅でも以深でもコバルトの品位が低下すること, また, 現在判明しているコバルトクラスト鉱床は中部太平洋海域に存在する海嶺, 海山群が中心であり, わが国の周辺では南鳥島南方の200海里水域およびその周辺で認められていることがわかった. なお, コバルトクラスト鉱床の傾斜は平均10度(最大20度)といわれ, クラストの厚さは数mmから最大10cm程度まで変化し, その平均は4cmであることがわかった. また, 鉱床の発達している基盤は玄武岩やその変質物, ハイアロクラスタイト, 燐灰土であることがわかった. 一方, コバルトクラスト鉱床の工学的特性としては, その強度が非常に低く, 脆弱な石炭の強度にほぼ等しいことおよびハイアロクラスタイトの強度がほぼ土壌のものに近いことがわかった. 以上の産状および特性を基にして, コバルトクラスト鉱床を開発するための最適なシステムについて, 採収率, 生産性, 制御性, 安全性, 経済性および発展性の面より理論解析およびモデル実験(本研究費で購入したメジャーカメラを使用)により検討した結果, 海面上の船より中間にポンプモジュールと下端にバッファを持つ提鉱管を懸垂し, そのバッファと海底の自走式採鉱ロボットをフレキシブルパイプで連結する流体ドレッジ方式で最適であることがわかった. なお, この方式の運動特性を解析するうえで, ポンプモジュールおよびバッファの形状とまわりの水の流体力を決定する必要があり, モデル実験と理論解析により, それらの最適形状とその場合の抗力係数および付加質量係数を求めた.
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