研究概要 |
合金の原子半径比が0.65〜0.8の間にあり,固溶体の形成が困難とされる系について,液体急冷凝固法を用いて合金融体を急冷し,強制固溶状況を調ベ,その構造と物性の研究を行うことが目的である.急冷装置としては,単ロール法を用いた. 本年度の研究で選択した合金系は,金属と金属の組合せとして,LaーFe系およびGdーFe系,金属とメタロイドの組合せとして,FeーB系である. LaーFe系については,1,4,8at%Feを含む合金を液体急冷し,X全回折,VSM,メスバウアー分光の測定を行った. 室温のメスバウアースペクトルで四重極分裂が観測されること,X線回折ではfcc単相であることから,Fe原子は弧立して固溶しているのでなく, クラスターを形成していると考えられる. また,77Kでのメスバウアースペクトルで内部磁場が短測されること,磁化曲保にヒステリシスがあることから,クラスター間の強磁性的相互作用の存在が結論された.分子場近似によってクラスターのモーメント300μβ,キュリー温度290Kと求まり,200箇位のFe原子を含むクラスターと考えられる.高温磁化率の結果もこの結論を支持している. GdーFe系については,10〜30at%Feを含む合金を液体急冷し,10%Feおよび20%Fe試料で,Fe原子を固溶したhcpGd単相が得られた.それよりFeの多い試料では非晶質となる. FeーB系では,8at%B試料でα固溶体が急冷状態で,12at%B試料では非晶質からの第1段結晶化状態で得られ,格子常数は純鉄とくらべて0.2%程度減少した. ベガート則が成立つと仮定して,数1at%のBが置換型に固溶したと結論される.
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