研究概要 |
本研究の目的は, 金属と非金属などの異種材料を常温で接合するための信頼性の高い新手法を開発することである. 手法の骨子は,接合面をイオン照射によりクリーンニグ, 活性化した後,超高真空中で圧接する超高真空接合と接合面に超音波振動を印加する超音波接合を同時に行う点にある. 本研究では, まず, これを実現する接合装置を開発した. 試作した超音波援用超高真空接合装置は, 圧接用超音波振動もをベローズを介して大気中より真空槽中に引き込んだものである. 真空槽は, ソープションポンプおよびイオンポンプによって,2.6×10^<-7>Paに到達させることができ, また, 雰囲気の制御ができるように外部からのガス導入も可能とした. 超音波振動子は, 最大出力が1200Wであり, 振幅30μmで18.8KHzの振動を生じうる. 接合は,振動子先端部下面(圧着面積4mm^2)で, エアーシリンダーにより75MPa程度の荷重をかけ, 金属をセラミックスに押付けるようにして, 約0.6秒で行なう. 接合試料は, 純アルミニウム, チタン,銅を金属試料として,セラミックスとしては,窒化アルミニウム, 窒化ケイ素, 及びアルミナを用いた. 大気中の実験においては, アルミニウムは 窒化アルミニウム, 窒化ケイ素のいずれとも良く接合した. また, 超高真空中においてもアルミニウムと窒化ケイ素は良く接合した. このことは, 大気中で接合可能な組合せは, 超高真空中でも可能であることを示唆している. また, チタンと窒化ケイ素の接合は, 大気中では, 窒化ケイ素の表面に酸化チタンが生成して, 接合が不可能であった. しかし超高真空中では, チタンの窒化ケイ素の接合が可能であった. このことから酸素などと反応しやすい材料や, 塑性変形による清浄な面の露出を期待できない材料では, 超高真空中での接合が有効であると思われる. 今年度の成果は, 日本金属学会昭和62年度秋期大会, プリント回路学会(12月)において発表された.
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