(1)昨年度試作したレーザー・ビーム急冷凝固装置でFe合金や非晶質合金などの冷却速度と凝固組織の関係を調べ、本方法の有用性を明らかにすることを試みた。すなわち、ガス噴霧法で得られた直径400μm程度の粒子をレーザー加熱し、その昇温および冷却過程を光センサーで検出、記録した。温度の検定には加熱速度を遅くして得られる相変態温度を利用して行った。反射レーザー光による誤差のなくし方、試料の保持方法など苦労したが、本方法により、10 k/s程度の冷却速度で過冷却を測定でき、基礎研究に有用な方法であることが分った。 (2)次に、本方法で、ガラス中に保持した試料のみを加熱、溶解、急冷凝固させることを試みたが、試料の凝固収縮により、試料とガラスの間にギャップが生じ、急冷が固難であることが分った。今後ギャップが生じ難い被覆方法を開発する必要がある。 (3)冷却速度と凝固組織に関する幾つかの実験データを基に急冷凝固組織の形成機構について考察を加えた。その結果、凝固速度(固相の成長速度)が過冷却に大きく影響し、これにより凝固組織がほぼ決定されるため、今後凝固速度の定量的評価、測定方法の開発が極めて重要であることがはっきりした。
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