研究課題/領域番号 |
62460194
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 亨 名古屋工業大学, 工学部材料工学科, 教授 (70024213)
|
研究分担者 |
守屋 健 名古屋工業大学, 工学部物理学教室, 助教授 (40029525)
小坂井 孝生 名古屋工業大学, 工学部材料工学科, 助手 (80110253)
土井 稔 名古屋工業大学, 工学部材料工学科, 助教授 (60135308)
|
キーワード | 粒子間弾性相互作用 / 界面エネルギー / 分岐理論 / オストワルド成長 / 弾性拘束 / 標準偏差 / 組織安定性 / 組織分岐 |
研究概要 |
相分解組織を多体としてとらえ、組織の界面エネルギーのみならず化学的エネルギー、弾性歪エネルギーさらに粒子間弾性相互作用エネルギーをも考慮した組織の安定性についての新しい組織分岐理論の理論的予測から、弾性的に強く拘束された合金やセラミックス等では、組織が粗大化ではなく逆に均一微細化する場合のあることを示した。この現象は、弾性拘束を強く受けた固体における相平衡がもはや単純な熱力学的平衡論では説明できない場合があることを意味しており、学問的に重要な意義を有している一方で、実用的にも拡散可能な高温に長時間保持しても組織変化の生じない合金等の存在を意味するものである。本研究はこの現象を多数の合金に適用してその普遍性を確認すると共に、この現象を利用した非時効軟化性材料の開発を目的としたものである。 得られた結果は以下の様である。格子ミスマッチの小さいNiーCrーAl、NiーAlーSi合金では粒子サイズは時間の1/3乗に比例して成長し、析出物サイズ分布の標準偏差も全時効時間を通じて一定で組織の自己相似性が成立していた。しかしながら、NiーMo、NiーCuーSi、NiーSiおよびNiーAlなど格子ミスマッチの大きな合金系においては、時効の後期に粒子成長の停滞が見られると共にサイズ分布の標準偏差が粒子の粗大化につれて小さくなる現象が認められた。このことは組織分岐理論に基づいて予測された組織の均一化が生じていることを明瞭に示すものである。さらに、弾性的に強く拘束された合金においては濃度差のある2つの組織へマクロ的に組織分離するという新しい相分解機構を見い出した。また、時効組織の有する自由エネルギーの評価法を示し、それに基づいて弾性的拘束系の組織変化を予測する方法を提出した。
|